黒猫の見る夢 if 第16話


「・・・C.C.」
「煩い、黙れ。もう全て暴露してしまった。お前が何を言っても、もう遅い」
「遅いじゃないだろうが!!言っていい事と悪い事があるぞ!しかもあの話」

大半が嘘じゃないか!!
作戦行動を取りながら、通信機を通し演説を終え、ホッとした時、突然C.C.は暴走し、全世界に放送されている電波に乗せて色々と暴露してくれたのだ。
しかも止めようと電話をかけると、煩い黙れと一方的に切られ、電源も落とされてしまった。内心怒りを抱きながらも、どうにか作戦を終え、ようやくゼロの部屋で合流できた所であった。被っていたゼロの仮面を脱ぎ捨て、ルルーシュはソファーに座り、その顔に怒りを乗せながら、目の前で平然とした顔でピザを頬張っているC.C.を睨みつけた。

「何を言っているんだ。、ほぼ真実だろう。響団のデータをお前も見たはずだ。皇族は響団の実験のため何度もデータを取られ、ルルーシュとナナリーは遺伝子まで操作されていた。マリアンヌ暗殺時にナナリーは足も目も奪われたが、本当はその現場にナナリーは居なかったのに、偽装のために足と目を奪われた。理由も嘘ではない、力を強める可能性があるからだ。開戦間近の日本に二人は送られ、死亡したとルルーシュが偽装し、ブリタニアから隠れて生きていた。ブラックリベリオンで二人とも連れ戻されたが、シャルルの力でルルーシュはその体を作りかえられた。生きていたのは枢木のおかげだろう?ジェレミアは実験体とされ、一時は会話も出来ないほどだった。私が先日ブリタニアへ遺跡を経由し単身潜入、お前を取り戻した。ナナリーは今日、お前自ら奪いに行った」

な?ほぼ真実だろう?

「嘘だとしたら、お前は予想外に元気だった事、研究に積極的だったのはマリアンヌとV.V.で、シャルルではない事。マリアンヌの精神は生きていたという事だな、アーニャと言う娘にとり憑いて。・・・まあ、もういないが」

C.C.がギアス響団へ秘密裏に潜り込んだ時、ギアスキャンセラーと言う人工ギアスを手に入れたジェレミアがそこにいた。戦闘になるかと身構えたC.C.であったが、C.C.の目的とルルーシュがゼロとして戦う理由を知ったジェレミアはルルーシュを主とし、使える事を望んだ。そしてそのキャンセラーを使い、ルルーシュは人の姿へ戻る事が出来たのだ。
ギアス響団の研究員とギアス能力者にルルーシュは、ギアスに関する全ての事を忘れるよう絶対遵守のギアスをかけ、そこにあった全てのデータを回収し、異変に気付いたのだろう、響団へ戻って来たV.V.をジェレミアとC.C.で押える事が出来た。そしてギアス響団関係者全員にギアスをかけた事で、ルルーシュのギアスは成長し、V.V.からコードを奪い取ることに成功したのだ。
再びゼロとして黒の騎士団に戻ったルルーシュは、咲世子の協力も得、あのブリタニアへの宣戦布告の放送時、ゼロとして咲世子とジェレミアを伴いCの世界を経由し、ブリタニアへ乗り込み、ナナリーを救出したのだが、それに気がついたマリアンヌがアーニャの体を乗っ取り襲いかかって来た。
だが、その場にいたジェレミアによって、マリアンヌのギアスが解除され、その魂も死を迎える事となったのだ。
救出されたナナリーは今、ゼロの居住エリアで咲世子と共にあの放送を見ている。
ゼロ=ルルーシュと言う事は伏せているため、ルルーシュが既に回復している事は知らせていない。
こうなれば二人に対する同情も利用するしかないというC.C.の判断で、心が壊れたルルーシュはゼロの居住区内の別室に隔離されている設定になっていた。
今ここにいるゼロ=ルルーシュと知っているのは、咲世子、ジェレミア、C.C.、カレンのみである。

「ルルーシュ様、あまりそう興奮されては体に障ります。まだ貴方様の体は衰弱しておりますゆえ」

スザクのおかげである程度回復しているが、やはり餓死寸前まで衰弱した影響は大きく、少し歩くだけで息を切らしていた。作戦は成功し、ナナリーを取り戻せた今、ルルーシュには今すぐにでも床に入ってほしいとジェレミアは訴えているのだ。
C.C.の勝手な行動と発言は問題だが、その放送でブリタニア内部が混乱している今が好機と、ナナリー救出後、即全部隊を動かし政庁へと攻め込み、ブリタニアの各駐屯地を攻撃し、ブリタニア軍を日本から撤退させるという神業をも行ったのだ。
よくこの体であれだけの指揮をと、ジェレミアは主のその才能に歓喜するとともに、無理をして倒れるのではないかという不安を抱えながらも、ゼロの望むまま傍を離れ、動き続けていた。
ようやく一息つける今、ぜひとも休んでほしいと思うのは当然である。

「ああ、解っている。すまないなジェレミア。もう少し話をしたら休ませてもらうよ」

C.C.へ向けていた物とは違う、穏やかな口調でルルーシュはそう言った。
つまり、まだ休むつもりは無いと言う事かと、ジェレミアは眉尻を下げた。
トウキョウ政庁に黒の騎士団の本部を置居たことで、今は騎士団員もばたばたとせわしなく動いている。こんな状況で自分だけ休みなど、ルルーシュの性格を考えれば無理な話だなと、C.C.はルルーシュの負担を出来るだけ軽くするために、傍から離れることはなかった。
その時、ゼロの携帯が鳴り響き、ルルーシュは外していた仮面を被ると、その電話に出た。

「どうしたカレン」
『大変ですゼロ!ランスロットとモルドレッドが日本に向かってきています!』
「なに?ランスロットとモルドレッドが!?」

緊迫したゼロの声に、ジェレミアとC.C.は真剣な表情でルルーシュを見た。

『はい、あと2時間ほどで国内に!』
「わかった、すぐに行く」

すぐに携帯を切ると、C.C.とジェレミアを連れ、ルルーシュは指令室へ足を踏み入れた。そこにはすでに幹部が集まっており、真剣な表情で迫ってくる飛行物体に関する情報を集めていた。

「ゼロ、接近しているのは2騎だけだ。ほかに機影は見えない」

今は副司令が不在のため、その代理を務めていた藤堂がそう説明した。

「通信はどうなっている?」
「いまだ繋がりません、どうしますかゼロ」
「ゼロ、迎撃しますか?」

皇帝のナイト・オブ・ラウンズの中でも、最強の攻撃力を誇るモルドレッドと、最高の機動力を誇るランスロット。
たった2騎。
だがその2騎はまさに一騎当千の騎士。
対応を誤れば日本は再びブリタニアに占拠される。

「迎撃態勢をとる。藤堂、カレン」
「承知」
「了解です、ゼロ」

カレンは走り出し、格納庫へと向かった。

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